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英会話教材を信用するな!
もう何を信じていいのかわからないよ!と、えむきち君は泣きながら訴えた。
先生、僕は英語が上手になりたくっていろいろと試しました。英会話教材も試したし、英会話スクールにも通っています。 インターネットで英語の勉強法を紹介しているサイトも参考にしたし…、 そんなこんなで、僕はこれでもかっ…てくらい英語に金銭的投資をしてきたんです。 それなのに、僕の英語力は一向にアップしない! …もう心が折れそうですよ。


―えむきち君は続けた。

もう僕は世の中に出回っているすべての情報がデタラメとしか思えません。このあいだ『ある日突然、英語が口から飛び出す!』なんて宣伝されてた教材を買ったんです。 僕は勉強が苦手だから、出来るだけ苦労しないで英語が出来るようになったらいいと思って…。いきなり英語が口から飛び出したら最高でしょう?
でも、結局飛び出してきたのは僕の愚痴だけでした。 いま一番売れてる英語教材なら間違いないだろうと思って、自分との相性も考えないで購入した僕が馬鹿だったのかもしれません。
だから、今度は英語教材を人気ランキング形式でレビューしているサイトを参考にすることにしてみました。 たくさんのサイトで評価されている、人気ランキング上位の教材を買ってみたんです。 結果、それはわけのわからない御託ばかりが並んでいる音源付きの情報商材で、かえって混乱しています。


―えむきち君、それはアフィリエイトというものだよ。

インターネットで英語教材を売るときは、ただ単に自社サイトで宣伝しているだけじゃあ売れない。 実際にその英語教材を使った体験談とか、販売元ではない第三者に評価してもらうことがこの業界では重要なんだよ。
わかるかい。 英語教材の販売元は、売上の一部を提供するから我が社の英語教材を宣伝してくれませんか?と、アフィリエイターと呼ばれる人達に依頼しているわけだ。 英語教材が売れれば販売元も儲かるし、アフィリエイターも儲かる。これが一時期ビジネスの世界で流行った『ウィン−ウィン』の関係ってやつだよ。


―先生、つまりこういうことですか?

人気ランキングで上位の英語教材なんかも、実際に学習効果があるからとかじゃなくて、レビューしている側に『うまみ』みたいなものがあるから…、 だから意図的に上位にしているってわけなんですか。
…そうか、そういうことだったのか。 どおりでおかしいと思ったんだ。わけのわからない情報商材があって、それが人気ランキングの第一位だったんです。 ホームページでは見出しに『驚きの効果!たった1週間で字幕なしで映画が観れるようになる!』 みないた煽りが太字で書かれていて『体験者の喜びの声』が顔写真入りで紹介されてるもんだから…。


―えむきち君、そんなもんで英語が出来るようになったら苦労しないよ。

私個人の経験から言わせてもらうと、そういった『ランディングページ最適化』を意識した作りのサイトは、一番手を出しちゃいけないタイプだね。 ランディングページ最適化というのは、ページ上部に購買心理を揺さぶるキャッチコピーが大きく書かれていて、 ページをどんどん下にスクロールさせていくと、もちろん顔写真入りの体験談や雑誌掲載実績も掲載されている。 この教材がいかにスゴイかってことを、説得力溢れる文章で畳みかけてくるのが特徴だ。
もちろん、英語教材の全てがダメというわけじゃなくて、なかには確固とした理論に基づく優れたものだって少なからずあるよ。 でも、アフィリエイターは自分の利益が第一だからね。必ずしも良質の教材を紹介するとは限らない。
英語教材だけじゃないよ。 英会話スクールだって、英語の参考書だって、現在はアフィリエイトで紹介されている。 私達の住んでいるこの日本という国では、英語学習というのは商売の道具に貶められてしまったんだよ。




*    *    *    *



正体不明の先生がおっしゃる通り、日本では『英語学習』が、ひとつのマーケットを形成しており、 僕たち英語学習者は、その膨大な情報量を前にして、いったいどんな勉強法や教材を選んでよいのかわからず、途方にくれてしまう。 そんなわけで、僕達が最終的に辿り着くのが『英語学習法サイト』や『教材レビューサイト』である。
サーチエンジンを使って『人気の英語教材』などとキーワード検索をすると、数え切れないくらい、たくさんの『レビューサイト』が検索結果に表示される。 これらの99%はアフィリエイターにより作成されているものであり、当サイトもそのひとつであることは否定できない。

アフィリエイターによるレビューが信用できないとなると、学習者は次に『英語教材の口コミ』などとキーワード検索して、 より多くの体験者の、より多くの声を紹介しているクチコミサイトを探してみる。 しかし、そのサイトで紹介されている『口コミ投稿』とやらも、アフィリエイターの『自作自演』だったりするのだ。



経済評論家の勝間和代が新作を出版して、大量のアンチ勝間により(実際に本を読んでもいないのに)アマゾンのレビューを星1つの評価に落とされたことを、ご存知の方も多いだろう。 はっきり言って、インターネット上で信頼に足る情報は限りなく少ない。 僕自身は、もはやアマゾンのレビューさえも信用していない。己を信じて突き進むのみである。

最近では、英語の達人の皆様が『海外で生活していれば自然と英語が出来るようになるなんて幻想だ!』と、口を揃えて主張しているらしいが、 そういう人達が国内で英会話スクールの講師をしていたり、英語教材の販売業者であったり、あるいは英語関連アフィリエイターであったりすると、 彼らの主張する留学無駄論も疑わしく思えてくる。 だって、英語を勉強したい人が海外へ行ってしまったら、彼らの商売あがったりじゃあないですか。


本を購入するときは他者の「評価」が必要になってきます。
しかしまた、この「書評」が厄介です。 というのも、日本のジャーナリズムでは、書評ほど信用のおけないものはないからです。 全国紙は、どこも日曜日の文化欄を数ページ費やして書評、ブック・レビューに充てています。 ところが、これが信用ならない。 全部がそうだとは言わないけれど、大概いい加減なものです。

無責任な書評にだまされて、本を買い、そのうえ貴重な時間を費やしたのに、何の感興も知識も得られなかった、という経験は本好きならば、どなたもお持ちではないでしょうか。 けれども、かといって書評で得られる様々な知識を無視してかかることも、また得策ではありません。
だとすれば、どういう対策があるのか。自分にとって信用できる評者を見つけることでしょうね。 信用できる、というのは、必ずしも公明正大であることを意味しません。 たしかに、評するときには、なるべく無私の立場を貫いてもらいたいものですが、しかし必要なのはそればかりではありません。
むしろ、自分の好み、あるいは感覚とあっている、評価の基準が近い人を探すことが大事です。 <ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法:福田和也>